すでにドローンは空撮、点検、測量、農薬散布など幅広い用途に利用されています。
今後は都市部を含む物流や警備など様々な分野での利用が期待されています。
レベル4(有人地帯での補助者なし目視外飛行)の飛行実現に向け、2022年12月5日よりドローン国家資格制が開始されました。
現在は、民間講習団体の操縦技能証明証を活用し飛行許可申請を行う流れが主流ですが、安全を担保する為に無人航空機を飛行させる者の知力と能力を学科試験、実地試験、身体試験を通じ国が証明し国家資格を発行することとなりました。
今まで以上にドローンのビジネス利用時における資格取得が重要になってくることが予測されます。
KUROFUNE DRONEにおいても国家資格登録団体への登録(KUROFUNE DRONE 事業者コード T0005001)が完了しました。
資格の種類は何があるのだろう?
取得するにはどうすれば良いのだろう?
どんな試験があるのだろう?
どんなメリットがあるのだろう?
大注目の「ドローンの国家資格」についてお話します。
◇こちらも合わせてご確認ください。
参考資料:国土国通省 資料
◇特定飛行
まずは、改正航空法で規制されている「特定飛行」について紹介します。
特定飛行とは以下の4つの飛行禁止空域での飛行、または6つの飛行禁止方法による飛行のことをいいます。
これらの飛行は原則禁止されていますが、訓練を受けた者(操縦技能証明証取得者)が、機体の登録、操縦者の登録、飛行許可申請を行い許可承認を得ることができれば飛行する事が可能です。
飛行禁止空域
・空港等の周辺の上空
・緊急用務空域
・150m以上の高さの空域
・人口集中地区の上空
飛行禁止方法
・夜間飛行
・目視外飛行
・30m未満の飛行
・イベント上空飛行
・危険物輸送
・物件投下
◇飛行形態の分類
飛行のリスクに応じてカテゴリーⅠ〜カテゴリーⅢに分類されます。
どのカテゴリーに属するかによって必要な資格の種類が分かれます。
カテゴリーに応じた資格取得、機体スペックが求められます。
カテゴリーⅠが最もリスクが高く、カテゴリーⅢがリスクが低くなっています。
【リスク大】カテゴリーⅢ > カテゴリーⅡA > カテゴリーⅡB > カテゴリーⅠ【リスク小】
カテゴリーⅠ(リスク★☆☆☆)
特定飛行に該当しない飛行
例)人の少ないエリアでの日中における目視内飛行
【現状】飛行許可申請は不要です。
【2022.12.5以降】今まで通り飛行許可申請は不要です。
カテゴリーⅡB(リスク★★☆☆)
補助者による立入管理を講じて行う特定飛行
例)人の少ないエリアでの補助者のいる目視外飛行、夜間飛行
【現状】飛行許可申請を行うことで飛行可能です。
【2022.12.5以降】国家操縦資格取得者が第二種機体認証の機体を使用し飛行許可申請なしで飛行可能になります。
カテゴリーⅡA(リスク★★★☆)
補助者による立入管理を講じて行う特定飛行で、カテゴリーⅡBよりもリスクが高いもの
例)空港周辺、150m以上、イベント上空、危険物輸送、物件投下、最大離陸重量25kg以上
【現状】飛行許可申請を行うことで飛行可能です。
【2022.12.5以降】第二種機体認証の機体を使用し飛行許可申請を行うことで飛行可能です。
カテゴリーⅢ(リスク★★★★)
第三者上空において補助者による立入管理措置を講じずに行う特定飛行
例)有人地帯での補助者なし目視外飛行、イベント上空飛行
【現状】現行ルールでは飛行することができません。
【2022.12.5以降】一等無人航空機操縦士の資格を取得し第一種機体認証の機体を使用し飛行許可申請を行うことで飛行が可能になります。
◇資格の区分
一等無人航空機操縦士
【特徴】カテゴリーⅠ〜Ⅲまでの飛行形態に対応
【最大のメリット】現状ルールでは飛行できない第三者上で補助者なしの目視外飛行(カテゴリーⅢ)が可能になります。
配送用ドローンを使ったピザの宅配サービスなども可能になります。
飛行を行うにはさらに国が認めた機体にて飛行することが求められます。
一等資格が必要な飛行を行うには、一等資格に適合した機体を使用する必要があります。危険度が高い飛行に使用される機体は、より安全性に配慮された機体である必要があるからです。
例えば荷物配送を行うとなると、大型のドローンになることが予想されます。何らかの不具合が生じた場合、ドローンの下を行き交う人へ危険を及ぼすことがない安全対策が施されている必要があります。
二等無人航空機操縦士
【特徴】カテゴリーⅠ〜Ⅱまでの飛行形態に対応
【最大のメリット】危険度の低い飛行(カテゴリーⅡB)については資格があれば許可承認が不要となります。
空撮、点検、測量、農薬散布などでドローンをご活用する場合などはこちらの資格でも対応可能です。
◇無人航空機の限定
一等、二等それぞれに6つの「種類の限定」、3つの「方法の限定」が設定されます。
自動車免許の「AT限定」「大型」等と同じイメージです。
【現状】
回転翼航空機(マルチコプター)、回転翼航空機(ヘリコプター)、飛行機 ※3種とも重量制限なし
「基本」「夜間」「目視外」「物件投下」
【2022.12.5以降】
回転翼航空機(マルチコプター)、回転翼航空機(ヘリコプター)、飛行機 ※各種「限定変更なし」「最大離陸重量25kg未満限定変更」
「限定変更なし」「昼間飛行限定変更 」「目視内飛行限定変更」
無人航空機の種類の限定
- 回転翼航空機「マルチローター」(限定変更なし)
- 回転翼航空機「マルチローター」(最大離陸重量25kg未満限定変更) ※重量制限なし
- 回転翼航空機「ヘリコプター」(限定変更なし)
- 回転翼航空機「ヘリコプター」(最大離陸重量25kg未満限定変更) ※重量制限なし
- 飛行機(限定変更なし)
- 飛行機(最大離陸重量25kg未満限定変更) ※重量制限なし
最大離陸重量25kg未満限定変更
限定変更なし:小型の農薬散布ドローン最大離陸重量25㎏未満(農薬積載量目安 10ℓ程度)の使用が可能です。
限定変更あり:大型の農薬散布ドローン最大離陸重量25kg以上の使用が可能です。
飛行の方法の限定
- 限定変更なし
- 昼間飛行限定変更 ※夜間飛行
- 目視内飛行限定変更 ※目視外飛行
昼間飛行限定変更
限定変更なし:ドローンを日中(国立天文台発表:日の出時刻から日の入り時刻までの間)のみ飛行可能です。
限定変更あり:ドローンを夜間にも飛行可能です。
目視内飛行限定変更
限定変更なし:ドローンを直接目視した状態での飛行のみ可能です。
限定変更あり:ドローンを直接目視できない状態(ドローンが映し出したカメラの映像を常に見ている状態、ドローンが建物に隠れている状態 等)でも飛行可能です。
◇有効期限
一等二等ともに3年
※更新時の要件については国が検討中です。
◇免許取得までの流れ
免許取得には身体試験、実地試験、学科試験の合格が必要です。
- 実地試験:登録講習団体、又は国の指定試験機関にて受験
- 学科試験:全国の試験会場のコンピュータを活用するCBT(Computer Based Testing)方式にて受験
- 身体検査:公的免許等でも可 一等(25㎏以上)については医師の検査(検討中)
下記1、2のどちらかで取得可能になります。
1、国の指定を受けた試験機関で受験し合格すると取得。 自動車の運転免許センターで試験を受けるような仕組み。
2、国の登録を受けた講習機関の講習を受講し実地試験を受験、合格後に学科試験、身体試験を国の指定機関にて受験し合格すると取得。
◇資格発行の対象
16歳以上が対象となります。
◇試験の内容
実地試験
制限時間あり、減点エリアあり、不合格エリアあり、減点方式
国の指定機関、登録講習団体で受験可能
一等 80点以上合格
机上試験:飛行計画の作成
口述試験:作動前の機体点検、飛行空域及び周囲の確認、作動点検
実技試験:ATTIモード 高度変化を伴うスクエア飛行、ATTIモード ピルエットホバリング、ATTIモード 緊急着陸を含む8の字飛行
口述試験:飛行後点検、飛行後の記録、事故及び重要インシデントの説明
二等 70点以上合格
机上試験:飛行計画の作成
口述試験:作動前の機体点検、飛行空域及び周囲の確認、作動点検
実技試験:GPSモード スクエア飛行、GPSモード 8の字飛行、ATTIモード 異常事態における飛行
口述試験:飛行後点検、飛行後の記録、事故及び重要インシデントの説明
実技試験にはATTIモードでの飛行が含まれております。
一等二等ともに8の字飛行が含まれています、機首方向が進行方向に向いたスクエア飛行は操縦者視点とドローン視点が異なる為操作ミスを起こしやすい状況になります。
市販されているドローンでATTIモードを操作できる機体が少ないこともあり、独自で合格基準に達する事は難易度高いと思われます。
講習を通じて合格基準に必要な飛行技能の習得をお薦め致します。
学科試験
国の指定試験機関にて専用のコンピューターを使用したCBT(Computer Based Testing)方式による3択問題
一等 70問 75分程度 90点以上合格
無人航空機に関する規則
無人航空機のシステム
無人航空機の操縦者及び運航体制
無人航空機の操縦者及び運航体制
運航上のリスク管理
※無人航空機の飛行性能(計算問題)、飛行性能の基本的な計算(計算問題)、カテゴリーⅢ飛行におけるリスク評価
※一等のみの出題
二等 50問 30分程度 80点以上合格
無人航空機に関する規則
無人航空機のシステム
無人航空機の操縦者及び運航体制
運航上のリスク管理
二等学科試験 (例題)
【例題1】
無人航空機操縦者技能証明及び機体認証を受けていない場合であっても航空法に基づく国の飛行の許可又は承認が不要な飛行として、正 しいものを1つ選びなさい。
a. 日没後の飛行
b. イベント上空での飛行
c. 人口集中地区に該当しない地域での高度150m以内の飛行
【例題2】
夜間飛行を行う場合に機体に求められる装備として、正しいものを1 つ選びなさい。(飛行範囲が照明等で十分に照らされていないものと する。)
a. 飛行時に機体を認識しやすい塗色
b. 障害物との衝突防止のための赤外線センサ
c. 機体の姿勢及び方向が正確に視認できる灯火
【例題3】
無人航空機の操縦者に課せられる義務として、誤っているものを1つ 選びなさい。
a. 飛行前に外部点検と作動点検により機体の状況を確認する。
b. 事故による機体の損壊や紛失に備えて、機体保険に加入する。
c. 事故時は、負傷者の救護等、危険を防止するための措置を取る。
【例題4】
気象が無人航空機の飛行に及ぼす影響の説明として、正しいものを1 つ選びなさい。
a. 低温時はバッテリー性能が低下する。
b. アスファルトの地表面が暖められると下降気流が発生し機体が 減速する。
c. 高温時は空気密度が増加し飛行性能が向上する。
正解 【例題1】c、【例題2】c、【例題3】b、【例題4】a
学科試験合格には80点以上必要(二等資格の場合50問中40問以上の正解)となります。
また一等資格には計算問題が出題されます。
事前に講習を通じてしっかりと学習されることをお薦め致します。
身体試験
公的証明書(自動車運転免許など)の提出をすることで合格証が得られます。
ただし、一等資格「25kg」を扱う場合のみ別途診断書の提出が必要となります。
二等資格の身体試験の基準
視力が両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上であること
又は一眼の視力が0.3に満たない視力者若しくは一眼が見えない者については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること。
色覚赤色、青色及び黄色の識別ができること。
両耳の聴力(補聴器により補われた聴力を含む。)が聴力10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音が聞こえるものであること。
二条の四十四の規定による条件を付すことにより、無人航空機の安全な飛行に支障を及ぼすおそれがないと認められること。 等
身体試験詳細についてはこちらの資料をご確認ください。※56ページ
◇免許取得の修了審査を受けるまでに必要な講習時間
※「初学者」と「経験者」と分類され、必要講習時間が定められています。
※経験者とは航空局HP掲載講習団体発行の操縦技能証明証を取得済みの方 です。
※KUROFUNE DRONEでの操縦技能証明証取得者は経験者に該当します。
必要講習時間 (限定項目を含まない場合/限定項目「夜間」「目視外」「25kg」全てを含む場合)
一等 初学者(座学18h 実地50h 計68h / 座学18h 実地60h 計78h)
一等 経験者(座学9h 実地10h 計19h / 座学9h 実地17h 計26h)
二等 初学者(座学10h 実地10h 計20h / 座学10h 実地15h 計25h)
二等 経験者(座学4h 実地2h 計6h / 座学4h 実地5h 計9h)
経験者の方は国家資格講習を受講される際、講習時間が減免されます。
操縦技能証明証をお持ちでない方につきましては、「初学者」となります。
KUROFUNE DRONEでは、
新たに操縦技能証明証を取得されなくとも、リーズナブルな価格にて「初学者」講習をご受講いただけます。
また、他の講習団体で操縦技能証明証を取得された方も「経験者」としてご受講いただけます。
初学者と経験者との講習時間差について
一等(全項目限定変更)の場合、52時間(約7.5日)の差
一等(限定変更なし)の場合、49時間(約7日)の差
二等(全項目限定変更)の場合、16時間(約2.5日)の差
二等(限定変更なし)の場合、14時間(約2日)の差
一等資格講習の受講に関して、経験者と初学者の間で大きな差があり、講習費用も数十万円の差が出ることが予測されます。
また、講習費用の他に交通費、宿泊等についても考慮する必要があります。
一等資格を少しでも安く、短期間で取得する為に事前に二等資格講習をご受講された後に一等資格講習をご受講されることをお薦め致します。
◇国家資格化にともなう疑問
・どの国家資格が取得必要なのか?
・一等資格が必要な方
カテゴリーⅢに対応する特定飛行を行う方。
都市部で第三者の上空を飛行させる配送業務などを行う場合は、一等資格が必要となってきます。
その場合は、資格だけではなく認可を受けた専用機体を用いる事になります。
・二等資格が必要な方
カテゴリーⅡに対応する特定飛行を行う方。
第三者の上空を避け、補助者を設置し空撮、点検、測量、農薬散布などを行う方。
・民間団体発行の操縦技能証明証は引き継がれるのか?
引き継がれません。別途試験(実地試験、座学試験、身体試験)を受験する必要があります。
国家資格制にともない資格の発行元が民間団体から国に変更となります。
・民間団体発行の操縦技能証明証の効力はいつまでなのか?
2025年12月5日までは民間資格制度も継続されます。
カテゴリーⅡまでの飛行については現状と同様、飛行許可申請を行う事により飛行可能です。
有効期限内に国家資格への切り替えをお薦めします。
・国家資格講習受講の対象者は?
16歳以上、身体検査(運転免許証、取得条件同等)に問題ないようでしたら受講可能です。
一等資格(25㎏未満限定変更)の場合は別途医師の診断書が必要になります。
◇KUROFUNE DRONE で 国家資格講習をご受講できます
当スクールは国土交通省登録講習機関として日本で6番目に認可されております。
(株式会社KUROFUNE DRONE 事業所コード:T0005001)
一等資格講習、二等資格講習 開催中です。
※25kg限定変更講習の予定はございません。
・お申し込みの流れ
・お申し込みの際には【技能証明申請者番号】が必要となります
◇まとめ
ドローンの国家資格制度が2022年12月5日に開始されました。
一等資格を取得することにより、今まではできなかった物流などのドローンビジネスが可能となります。
今後、ビジネス利用を中心に操縦資格の有無は仕事の信用、受注に大きく係わってくるところとなります。
これからドローンを始めようとされる方は、どの資格を取ることが良いのか迷われている方もいらっしゃると思いますが
先ずは二等資格初学者講習のご受講をお薦めいたします。 操縦技能証明証をお持ち出ない方、全く初めての方も問題ご
ざいません。
一等資格を目指される方も、二等資格を最初に取得して頂くことで、「経験者講習」の価格でご受講頂くことができます。
是非ご検討ください。