ドローン活用事例


趣味での利用はもちろん、様々な分野でドローンの利用が始まっています。
2022年の資格化以降、第三者上空での飛行が可能となり、物流分野での産業利用拡大が期待されています。

ドローン自体の能力はシンプルですが、他の何かと掛け合わせ力を発揮します。
ドローンはインターネットと現実を繋ぐインターフェイスになる可能性を秘めています。
今は人がドローンを直接操作し業務を行う事が主流ではありますが、今後将来的にAI(人工知能)と紐付くことにより、自動飛行が主流になることで最大限に能力が活かされます。
人に例えるとAIは脳、ドローンは手足に例えられます。
AIが計画した事を、ドローンが実行するというイメージです。
全業務(離陸〜業務実行〜完了〜帰還〜自己充電〜待機)を人の手を介さずに自動的に行う未来がすぐそこまで近づいて来ています。

◇ドローンが持つ能力について

・飛行
地上の状態に左右されず目的地上空に向かう事ができます。
高所、水辺、崖、崩れそうな不安定な足場など、人の立入が困難な場所において活用できます。

・垂直離着陸
滑走路の必要が無く、離発着が容易です。
限られたスペースでの運用が可能です。

・ホバリング(空中停止)
定点に留まる事ができます。
市販されているドローンはGPS機能を搭載しているものが大半です。
風が吹いても流される事がなく、その場で停止できます。

・積載
カメラ、農薬のタンク、物資など、用途に応じて物を搭載する事ができます。
ドローンによって搭載できる重さが決まっています。
機体が大型になるにつれ、より重い物を搭載できます。

・遠隔操作
離れた場所から操縦する事が可能です。
ドローンの操縦はプロポ(送信機)を通じ電波を使用し行います。
数㎞先まで操縦可能です。

・自動操縦
自動操縦により効率が向上します。
事前に設定したルートを飛行することができます。
一定の間隔で撮影が必要な空撮測量、定期的に同じルートを飛行する物資輸送、警備業務などに活用されます。

〜活用事例〜

◇空撮

GPSの発達により誰でも手軽に空撮を楽しむ事ができるようになりました。
ドローンに搭載されたカメラにより鳥の視点で撮影できます。
通常カメラでは不可能な高いアングルからのダイナミックな写真や、ジンバル(手ぶれ補正の機能)が付いたドローンでは映画のワンシーンような滑らかな映像が撮影できます。

最近のドローンには様々な自動撮影モードが備わっており手軽に空撮が楽しむことができます。

代表的な自動撮影モード
・フォローミー 対象を追尾しながら撮影します
・ドローニー 対象から上昇後退し遠ざかりながら撮影します
・サークル 対象を中央に捉えながら周回軌道で撮影します

◇点検

高所や人が立ち入る事が困難な場所でドローンが活躍します。
高所作業車や足場の設置が必要なく、工期短縮、コスト削減に繋がるメリットもあります。
ズームカメラ、赤外線カメラを搭載したドローンによる非接触点検が主流です。

点検対象に近づいて飛行する場合、接触・墜落のリスクがありますが、ズームカメラを活用する事により距離を保って安全に点検を行う事ができます。
赤外線カメラは点検対象によって必要画素数、計測温度範囲が異なるので導入時には注意が必要です。

・屋根点検
可視カメラを用いて損傷箇所を確認します。
台風などによる家屋の屋根の被害状況を把握する場合に使用されます。
屋根に隠れてドローンが直接見えない状況(目視外飛行)になる場合があるので、電線などの障害物を把握しておく必要があります。

・ソーラーパネル点検
可視カメラと赤外線カメラを使用しながら行われます。
異常部分(ホットスポット)を赤外線カメラを用いて発見します。

・構造物の壁面点検
可視カメラと赤外線カメラを使用しながら行われます。
クラック(ひび割れ)、浮きなどの異常を温度の違いにより探します。
壁の色、日当たり、時間によって赤外線カメラのムラが出るので、誤差を加味しながらの点検が必要です。

・インフラ点検
高架下、トンネルなどのにおいてはGPSが正常に動作しない場合が想定されます。また明るさも不十分な場合もある為、ビジョンセンサーの他にレーザーを装備した、非GPS環境でも自律飛行できるドローンが活躍しています。

・工場設備点検
ドローンの飛行空域に配管などの障害物が多数存在している場合、回避が困難な場合があります。点検対象への接触を前提として、機体全てをケージで覆い接触したとしても問題ない状態のドローンにより点検が実施されています。

◇測量

ドローンの自動飛行機能測量ソフトを用いて空撮測量を行う事ができます。 

ドローンによる測量の流れ
・飛行計画
・飛行空域確認
・GCP(対空標識)設置
・ドローンの自動飛行によるオーバーラップ撮影 
 ※縦方向80%以上、横方向60%以上
・測量ソフトにて写真解析(解析オルソ画像、点群データ)
・図面化

精度
GPS(衛生測位システム)のみ  約±2m程度
RTK(リアルタイムキネマティック) 約±1.5㎝程度

レーザーを搭載する場合は、草木の高さなどのノイズを除去したより精度の高い測量が可能です。

・災害時の土量計算
人の立入りが難しい場所において、被害状況を確認する事に有効です。
迅速に復旧計画を立てる事が可能です。

・公共測量
国土交通省の測量のマニュアルに沿う精度での測量が必要です。
無人航空機(UAV)を用いた公共測量~UAV写真測量~

◇農業

農薬の空中散布を行うことができます。
ドローンによる散布面積の割合は日本国内の水稲作付面積の30%、水稲防除における面積は約90万ヘクタールに達しています。
参照※平成28年度農林水産航空事業の実施状況(農林水産航空協会発行)

5〜16ℓ程度のタンクを搭載し、1ヘクタールを約10分で散布可能です。
※動力噴霧機の場合1ヘクタール約3時間(ドローンは18分の1の時間で散布)

液剤散布だけでなく、粒剤散布(発芽しやすいようにコーティングされた稲の種など)にも活用されています。
搭載ユニットを交換する事により散布仕様が変更できるものが大半です。

大型になるとGPS・RTKを利用しエリアを指定し自動飛行により効率的に散布を行う事ができる機体もあります。

リモートセンシング技術の利用
従来は生産者の目視確認によって育成状況が判断されていましたが、ドローンに搭載されたマルチスペクトルカメラ(青、緑、赤、レッドエッジ、近赤外 5つの波長撮影可能)と解析ソフトを用いて農作物の育成状況を把握することが可能になりました。
作物の種類、地域によってデータ傾向が異なるため、データが揃うまでのあいだは目視確認と画像データを照らし合わせながら活用する流れとなります。

◇鳥獣害対策

赤外線カメラを用い、上空より害獣の場所を把握する事ができます。
地上の猟師と連携をとり有利な場所まで戦略的に追い込む事に利用されています。
スピーカー機能を使用して天敵の音声を流すことにより、害獣・害鳥を追い払う事にも使用されています。

◇救助活動

投下装置を利用し救命用具を要救助者に届けることが可能です。
雨や風に強いドローンもあり、災害時に捜索活動を行う事もできます。
ドローンが映し出す映像を、共有しながら別の場所で見る事ができる機能が備わったものもあります。

山間部での捜索活動では赤外線カメラが活躍します。
スピーカー機能が備わったドローンを利用し、避難を呼びかける事も可能です。

◇物資輸送

自動飛行機能を用い、あらかじめ設定したルートを飛行し荷物を配送する事ができます。離島や山間部への荷物輸送に利用され始めています。
運べる荷物の量は、機体によって異なります。
現状の荷物配送では現状2㎏程度が一般的です。

今後、配送業において集荷倉庫からのラスト1マイルの部分をドローンが請け負うことができるよう期待されています。

◇倉庫管理

物流の拠点となる倉庫管理業務において、スキャナーを搭載した屋内型ドローンを利用し効率的に棚卸し業務が行えます。
あらかじめドローンの飛行可能エリアをプログラムし、人の手が届きにくい場所をドローンが請け負います。

◇防犯・警備

プログラミングにより定期的なルート警備を行う事ができます。
管轄エリアの中でドローンが24時間待機しており、異常を検知した場合現場に飛行し、録画を開始します。
対象との距離を保ちながら、警備員に情報を送ります。
地上から有線で電源を供給し長時間定点監視可能なドローンもあります。

◇エンターテイメント

・ドローンレース
時速100㎞以上のハイスピードでフラッグやゲートやをくぐり抜けタイムを競います。
FPVゴーグルを利用しドローン視点での操縦が楽しめます。
5.7ギガヘルツ帯の電波を使用している場合が多く、
趣味利用の場合は、アマチュア無線4級以上の免許が必要になります。
業務利用の場合は、第三級陸上特殊無線技士の免許が必要になります。

・ドローンフライトショー
LEDを搭載したドローンのプログラム飛行
により、夜空に模様を描きます。
数十機から数千機まで規模は様々です。
最近では東京オリンピックの開会式にフライトショーが行われました。

まとめ

ドローンの能力、活用事例を紹介いたしました。
現状は点検、測量、農業、空撮でのドローン利用が大半ですが、2022年度のドローンの国家資格化に伴い、「一等資格」が創設され第三者上空での目視外飛行が可能となります。
これにより、都市部での物流でのドローン利用が本格的に開始される見込みです。
私たちと共に、ドローンの利用の際の基礎知識、操縦技術を身につけていきましょう。

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